1月31日に今シーズン最初のスキーバッジテストを実施しました。私は、午前は3級の講習内検定、午後は1級2級の検定員を担当しました。
1級2級検定の閉会式の際に、「種目の理解を深めるためには、当校のレッスンをご利用ください」と営業トークしましたが、それだけではズルい気がしないでもないので、『検定員の独り言』的に感想を書いてみます。
3級や2級のシュテムターン、1級の横滑りの各種目について、種目が設定された意図を理解されていない状態で受検なさっている方々が多く見受けられました。「なんでこんな種目をやらされるのかわかんないよー」という方は、「どうして検定種目になったのか→それができるとどういうときに役立つのか」というふうに見方を変えると理解しやすくなります。
シュテムターンは、プルークボーゲンで滑れる方が、パラレルターンに移行するまでの過渡期に使用するテクニックです。板を平行に保ったままターンすることがまだできないスキーヤーが、スキーを開き出してスキー板の軌道を変え、開き出した外スキーに荷重してターンを開始する操作です。ですから、開き出したスキー板(外スキー)に乗ってターンすることが最も重要で、スキーの開きだしの方法(ずらしかリフトか)やストック使用の有無などは、レベルに応じて段階的に変化します。
3級のシュテムターンでは、ターンしている最中はプルークボーゲンでのターンに近い動作になるのが自然ですし、2級のシュテムターンでは、両スキーがターン中の早い段階で平行に近づいていくような洗練された動作に変わってきますが、外スキーにしっかり乗り込んでターンを開始するという特徴は同じです。板を開き出すこと(シュテム動作)だけに意識が行ってしまって、開き出した板に乗りきれていない方々が多く見受けられました。
また、横滑りは、パラレルターンの、特にターン後半部分の動きにつながる姿勢を表現できるか試されているので、両肩や骨盤の左右の傾きが斜面と同じ方向に傾くべきなのに、傾きが逆だったり、両スキーが平行の状態で斜面をずらし下りるだけの「斜め前方ずらし」になっている方がいました。横滑りという滑りの形状に注目するのではなく、ターン後半に現れる自然な外向傾姿勢を表現できることが望ましく、外向傾姿勢とはなんだということが理解できていないと演技しにくい種目とも言えます。
3級は講習内検定なので、検定員が講習時間内で受検生の方々を合格できるレベルまで指導するのが理想的ですが、直前まで体を振り込んだり内倒することによってターン始動していた方を、2時間の講習内で外足荷重のターンに変えていくことの難しさを実感しました。練習の段階では、ターン中に内倒していた生徒さんが外向傾姿勢を伴うシュテムターンで滑れるようにはなったのですが、これから採点となると緊張してしまって、慣れ親しんだ元の滑りに戻っちゃう…。
本当は3級を受検されるような方々は全員合格させたいところなのですが、心を鬼にして合否を決めさせていただきました。3級受検の段階で少なくとも「内倒」にはしっかり決別しておかないと、将来的にもっと苦労されると思いますので。